2019.08.15 / 健康・美容
突然ですが、「海藻を消化できるのは日本人だけ」という噂を聞いたことはありませんか?
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、海外でもちょっとしたブームになっていますが、和食に海藻は多く登場します。最近「のり」や「ひじき」などは海外でも食べられるようになってきたとは耳にします。
「海藻を消化できるのは日本人だけ」という噂は本当なのでしょうか?
また、このように噂されているのはなぜなのでしょうか?
実はこの噂は、「正しくはない」のです。
この噂が流れるようになったきっかけは2010年、科学雑誌「Nature」に掲載されたある論文。フランスの研究チームが「日本人の腸内から海藻を消化する酵素が見つかった」と発表したものだといわれています。
冒頭の噂は正しいように見えるのですが、ここには落とし穴があります。
そう、この実験は、日本人と北米人、それぞれ数名を調べたもの。
だから、この実験結果からは「日本人だけが消化できる」とはいえないのです。
アジアの他の国の人も消化できる可能性は捨てきれません。
また、この調査にかかわった日本人すべてが海藻の消化酵素をもつわけではないということを踏まえると、「日本人の中には、海藻を消化できる人もいる」というのがふさわしいように思います。
さて、ここで気になってくるのが、消化酵素を持たない人は、一切海藻を食べられないのかどうか。
「日本人でもすべての人が海藻の消化酵素を持つわけではない」という結果がありますので、自分が消化酵素を持っているのかどうかも気になりますよね。
消化酵素を持たない人が海藻を食べるとどうなるのでしょうか?
答えは簡単。
ほとんどが消化されずに、そのまま体外に排出されてしまうのです。
消化・吸収されにくいから、海藻類は低カロリーと言われているんですね!
そもそも、海藻が消化されにくい理由は、海藻が非常に硬い細胞壁をもっているから。
だから、特殊な酵素を持たないと消化できないのです。
しかし、これは「生食」の場合。
実は、この非常に硬い細胞壁は加熱すると壊れるのです。
細胞壁が壊れれば、特殊な酵素を持たなくても、だれでも消化できるのです。
ところで、一部の日本人が生の海藻を消化する酵素を持つようになったのにも理由があります。
生の海藻を消化できる人の腸内には、「消化酵素を生み出す微生物」がいるのです。
日本人には昔から、海藻を食べてきた歴史があり、生の海藻を食べ続けていたことで、海藻を分解できる微生物を体内に取り込むようになったといわれています。
一方、日本人には、乳製品やアルコール、カフェインを体質的に苦手とする人が多いといわれています。
実は、北米人が海藻を消化する酵素を持たないのと同じで、日本人の中にはこれらを消化するための酵素を持たない人が多いからなんだそうですよ。
さて、今回は、海藻にまつわる噂についてご紹介しました。
食文化によって、消化しやすい・しにくい食品があるのは、なんだか生物の進化のロマンを感じますね。
日本以外にも、海藻を食べる文化を持つ国はいくつかありますので、その国の人の消化酵素も調査すると、また新しい発見があるかもしれませんし、また、これから、日本食ブームで海藻を食べる文化が広まれば、数百年後には、みんなが海藻の消化酵素を持つ未来があるのかもしれませんね。
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