2019.05.08 / 健康・美容
近年アカモクは、健康食品としてまた高い美容効果によって注目度がグングン増しています。その影響からメディアで取り上げられることも増えている中、アカモクとは違う種類の画像がネット上にアップされていることがあるんです。
というのも、アカモクにはよく似たそっくりさんたちがたくさんいることが原因。
今回は、そんなアカモクのそっくりさんたちをご紹介したいと思います。面白い発見がたくさんあるので、ぜひご一読ください!
目次
シダモクは、アカモクと同じヒバマタ目ホンダワラ科の海藻で、見た目が似ているのはもちろんのこと生息場所も同じなんです。
アカモクとシダモクの違いは、
・気胞の形
・雌雄の株が同じか違うか
・成熟期間
という3点が挙げられます。
ホンダワラ科の海藻には、気胞という浮袋のような組織があります。
気胞には多くの種類がありますが、
上(出典)http://www.tbg.kahaku.go.jp/research/database/seaweedworld/html/ousou/akamoku.html)
下(出典) http://www.tbg.kahaku.go.jp/research/database/seaweedworld/html/ousou/sidamoku.html)
とそれぞれの形をしていて、似ているようですが全然違うんです。
ほとんどの植物は、一つの個体に雄しべと雌しべが一緒になっているものばかりです。共存している雄しべと雌しべが自家受精を行って効率的に子孫を残そうとしています。
これにあたるシダモクは、雄雌同体になっていて、オスとメスが共存しているんです。
だから性別はありません。
一方でアカモクは雄しべのみが備わった個体、雌しべのみが備わった個体と、オスとメスがそれぞれ分かれているんです。つまりアカモクは、〇雌雄異株であり、異なった遺伝子を持つ他の株の花粉を受精しなければ子孫を残せません。それは、より強い子孫より多様な遺伝子を持ってどんな環境であっても生き抜けるように戦略的な進化をしたのかもしれませんね。私たち人間と同じですね。
気胞が形成されるのは、ある程度の成長を遂げてからです。
なので若い個体をアカモクなのかシダモクなのか判別するのはとても難しいでしょう。
ホンダワラは、アカモクを含む「ホンダワラ科」のリーダー格です。丹後地方でホンダワラは、「ジンバ(神葉)」とも呼ばれています。ワカメに限らずアカモクを食用している地方があったり、ホンダワラを食用している地方もありますが、不思議なのことにアカモクもホンダワラもどちらも食用しているという地方はないようです。
例えば、島根県の隠岐地方ではホンダワラを珍重していますが、アカモクのことを「はなたれ」と呼び食用にはしていないそうです。また日本の長い歴史では、ホンダワラ科の海藻はひとまとめにされており、アカモクとホンダワラは区別されることはありませんでした。
そんなアカモクとホンダワラの違いは、
・気胞の形
・葉の形
・食感・粘り
という3点が挙げられます。
上記でもご紹介しましたが、アカモクの気胞は円柱になっているのに対して、ホンダワラの気胞は楕円形になっています。
(出典)http://www.tbg.kahaku.go.jp/research/database/seaweedworld/html/ousou/hondawara.html
またアカモクの気胞の先端には「冠葉」と呼ばれる突起があります。それに対してホンダワラの気胞には冠葉がないか、少し尖る、または尖った部分が少し伸びているものがあります。
アカモクの葉は、形が特徴的です。深い切れ込みがあり薄いアカモクの葉は、
〇のこぎりの刃のようにギザギザしています。
ホンダワラの葉は、アカモクよりも〇切れ込みが浅く厚みもあります。
海藻自体の姿形の違いをご紹介してきましたが、食材として比較するとその違いがもっと分かりやすくなります。まず食感を比較したいと思います。
アカモクを湯通した場合、〇シャキシャキとした食感になります。
それに反して、ホンダワラは湯通しすると〇サクサクと歯切れが良く大変食べやすくなります。
また刻んだときの粘りが全然違うんです。ホンダワラに比べてアカモクの粘りは、〇圧倒的に強くヌメリがあるのが特徴的で、箸で掴んで伸ばすと一目瞭然です。
アカモクのこのヌメリを見ると、アカモクが「はなたれ」と呼ばれている理由が分かる気がしますね。しかし、全く生臭くなくてとっても美味しいです!
吸い物にもおひたしにもバッチリ合うでしょう。
ホンダワラも歯切れがよくて美味しいです。爽やかな潮の香りがするのでお吸い物には間違いなく合うでしょうし、気胞がプチプチして海ブドウのようなので、海藻サラダの中に入れてアクセントにするのも良いでしょう。
ホンダワラ類の仲間は、一瞬の見極めでは見分けるのが難しいのですが、岩に付着している部分から先端までの判別ポイントをしっかりと観察すれば見分けられるはずです。一度チャレンジしてみてはどうでしょう。
「タハママキモク」この名前聞いたことがあるでしょうか。アカモクよりも聞いたことがないかもしれませんが、タハママキモクは、アカモクと同様にホンダワラ科の一種です。
主な違いは、
・気胞の形
・葉の形
・雌雄の株が違う
・枝分かれの多さ
という4つが挙げられます。
(出典) http://www.tbg.kahaku.go.jp/research/database/seaweedworld/html/ousou/tamahahakimoku.html)
〇「気胞の形」「葉の形」については、これまでの2種と同じですが、おそらくホンダワラ科の見分け方は、気胞の形と葉の形が定石のようですね。
アカモクは雄株と雌株が別でしたが、タマハハキモクは同じ株なので、
〇雄雌同体ということになります。
なんといっても一番特徴的な違いは枝分かれの多さです。
アカモクに比べてタマハハキモクの枝分かれはあきらかに多いです。タマハハキモクを漢字で「玉箒藻屑」と書きますが、まさに箒のような「束感」あります。
タマハハキモクはもともと日本近海に存在していた海藻ですが、今はアメリカの太平洋岸やヨーロッパの沿岸でも繁殖が確認されています。
ちなみに、タマハハキモクは食用にはまったく向いていないでしょう。
というのも先端の新葉はシャキシャキとして食べれなくもありませんが、茎が非常に硬く、全体的に青臭いからです。雑草を引き抜いて食べているような気分というのがいいのでしょうか……。
繊維質が多いので、長時間茹でればなんとかなるという類のものでもなさそうです。
同じ姿形をしていても、味や食感、旨味、性別などが違って、別の物でしたね。私たちが見かけている海藻は、アカモクでしょうか、それともホンダワラ、はたまたタマハハキモクかもしれません。今回ご紹介したことを参考に一度見比べてみると面白いのではないでしょうか。