2019.06.03 / 健康・美容
海藻というと、海にいるのが当たり前のもので海以外には生息していない
そう思っていませんか?
海藻は食べる機会も多いですが、種類や生息区域など、詳しいことを知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、いろいろな力を持つ海藻の生息地域や、使い道、そして他国で海藻を食べている国はあるのか?など、海藻の雑学をお届けします。
目次
海藻は海でゆらゆらしているイメージが強いのですが、実は川にも生息しています。
川に生息している中で有名なのが、四万十川のアオサノリです。
ごはんにつけても、お味噌汁やラーメンに入れて食べてもおいしいアオサノリは大好物という方も多いのではないでしょうか。
アオサノリだけではなく川に生息する海藻は非常に強い生命力を持っています。
川に生息するためには、強い生命力が必要です。
というのも、潮の満ち引きによって川は水分中の塩分濃度が一定化していません。そして、川は海とは違う流れがあり、海藻には負担が大きいのです。
また、海藻は一度定着してしまうと、場所を移動することができません。
そのため川に海藻が生息するためには環境の変化にも動じない強い生命力が必要となるのです。
四万十川に生息するアオサノリは、それほど生命力が強い海藻なんですね。
高知県にある四万十川は日本最後の清流ともいわれています。
四万十川のアオサノリは、ミネラルなどを豊富に含んだ四万十川の汽水域で生息しています。
川の汽水域は、流域の変化が起こることで現れる陸と海の接点に位置し、淡水と海水が混合する場所です。このため、この流域に生息するアオサノリは栄養が豊かで、生産力も高いのです。
四万十川以外にも、川の汽水域にはアオサノリと同じ緑色の藻類が生息しているので、機会があったら、一度、観察してみてくださいね。
海水のない川の上流や湖など淡水に生きている海藻を淡水藻といいます。
淡水藻はなんと数百種類も存在し、皆さんもご存じな特別天然記念物のマリモも藻類で、海の緑藻類に近い藻です。
また、淡水藻の中にも四万十川と同じようにノリが生息しています。
クロレラは健康食品として有名ですが、このクロレラも淡水藻なんです。豊富なたんぱく質と高い栄養価があることから、一躍、健康食品で有名になりました。
クロレラは光合成によって高い生産性があるので、今では人口養殖もされるほどです。
陸にも生息している海藻の仲間が存在しています。
それがスミレモです。
スミレモは石垣やコンクリート、木などにはりつき生息しており、色もオレンジ色のコケのような形状をしています。
藻類なのに、スミレモはオレンジ色なのは、βカロチンを豊富に含んでいるからです。
βカロチンを豊富に含むとして有名なニンジンもオレンジ色をしていますよね。
他にも、陸に生息している海藻類は少なくなく、それらは気生藻(きせいそう)と呼ばれ、スミレモのように石垣やコンクリート、街路樹などにはりついているもの、それらが気生藻なんです。
コケに似ているものの、気生藻はコケとは種類が異なります。見た目はコケに似ているのに不思議ですよね。
また、見た目も決してスミレには似ておらず、このスミレモをシャーレの中で長期培養ののち、ふたを開くとスミレに似た匂いがすることからスミレモという名前が付けられました。
スミレモなどの気生藻も、川の藻同様に数百種類存在するのだそうです。
海や川以外の陸地にもスミレモなどの藻は力強く生きているんですね。
日本の食卓には海藻類を使ったお味噌汁が定番ですよね。
また海藻サラダもとってもおいしいし、ダイエットにも大活躍です。
日本以外でも海藻類を好んで食事に取り入れている国はあるのでしょうか?
その海藻類、実は欧米諸国では食事に取り入れる習慣がありません。
一説には、日本人の腸内環境は海藻類の消化がしやすいけれど、外国人の体質には合わないなどといわれていますが、これは真偽は定かではありません。
ただ、確かに、昔から食生活に海藻を取り入れている日本人に比べ、欧米諸国では海藻類をわざわざ食事に取り入れるということはないようです。
TV番組などでも、日本にきて驚いた食べ物としてわかめが取り上げられているのを見たことがあります。納豆は外国人の方でも食べられる方が多いけれど、それは豆類を食べることに対して抵抗がないからで、海藻類は口にしたことがなければ抵抗を感じてしまうのでしょうね。
日本以外で海藻類を食事に取り入れている国を探してみたところ、アイルランドやスコットランドでも海藻を食べていることがわかりました。
とくに、アイルランドでは昔から食習慣に海藻類が取り入れられ、現代でも食文化として海藻類は食べ続けられているそうです。
アイルランドで好まれている海藻類は「ダルス」と「ヤハズツノマタ」という紅藻です。
ダルスは大西洋北西部沿岸に生息し、水煮にしたのち、ゼリー状に固めてそのまま食べたり、牛乳で煮たみじん切りの細ネギやパセリを加えたマッシュポテトに混ぜたり、魚のスープやシチューに混ぜたり、バターを塗ったパンにはさみサンドイッチなどに使われているそうです。
いろいろな食べ方がありますが、その国その国の文化が食事には垣間見ることができますよね。
ヤハズツノマタはアイルランドや北アメリカ沿岸部に生息する紅藻です。
スギノリ科の海藻で、ヤハズツノマタから抽出されたカラーギーナンは食品や工業においてゲル化剤や増粘剤、増粘安定剤としても使われています。食材としても、昔からアイルランドではプリンの材料として活用されています。
チリ沿岸部に生息するのがダービリアという海藻。インディオの時代から汁物の具として好まれて食べられていたそうです。
このように、海外でも海藻類を食事に取り入れている国はあるんですね。また増粘剤などにも使われる海藻は、いろいろなものに最近では使われてきているようです。
海藻はアイルランドで増粘剤に使われているのはお話したとおりですが、海藻は食べるだけではなくいろいろな用途で使われています。
太平洋戦争時代には、小中学生が海岸で火薬の原料にするために海藻を採取していたという話があります。
海藻にはカリウムやナトリウム、ヨードが含まれるため、火薬の原料として当時は適していたからです。
そして現在では以下のようなものに海藻類は使われています。
・シャンプー
・化粧品
・カップ麺
・医療用
*小見出し1:医療用に使われる海藻
増粘剤としてアイルランドで使われている海藻類ですが、日本でも薬の錠剤を固める、歯形を取る、薬のカプセルなどの医療用に使われています。
日本は世界でも有数な漁場がたくさんあり、魚はもちろんのことですが、海藻類の生産量も非常に高いことから様々な使用用途が開発されてきたのです。
数多くの海藻が海、川、陸に生息する日本では、食べるだけではなく、生活に深く関わっているのです。